よさこい羽織の衿ぬき

「衿を抜いた感じの衣装にしたいのですが」

このようなご要望は女性からよく頂きます。

ご存知のとおり「衿を抜く」つまりうなじを出すという和装の着方は、とても艶っぽく色っぽいです。

女性なら、一度はこんなうなじを出す着物の着方してみたいですよね。

普段の生活ならまだしも、よさこい衣装となればその要望も叶え易く、毎年とても綺麗な衿抜き衣装を拝見します。

弊舎では衿抜き衣装で心掛けている箇所が数々あります。

昔、着物を着るときに衿を抜くと羽織の後ろが長くなり『おひきずり』となりました。

芸者さんなどで、長めのおひきずり着物を着られている場面を、雑誌やTVで見たことがある方は多いと思います。

それを、おひきずりなしで着用する場合、ウエストのおはしょりで調整し昔はここに太幅の帯を装着しました。

このような着方をする場合、身幅は狭いほうが着易いんですね。

同時に袖付けも工夫します。

なぜならば、身頃が後ろにひっぱられるということは、肩線も後ろに下がり尚且つ袖付け線もくずれていきます。

なので、身幅が狭いほど着易いのです。

昔はこの崩れ感の曲線美が和装の色気や美しさにも直結していましたが、よさこいの場合、踊らなくてはいけないので、同じ着方をする訳にもいきません。

なので、元から衿を落としたラインで羽織を作るというパターン製作になります。

寝かせるか、立たせるか、ツレをなくすカーブをどこまで曲げるか、そしてどの生地と芯でハリを出すかなど様々なラインと芯地問題をクリアし『衿を落とした風の羽織』を完成させます。

衿は落としても、胸元はあまりはだけすぎないよう気をつけることも大事です。